2024年度のものづくり補助金の詳細が中小企業庁のHPで公開されています。
注目は、新設された「省力化オーダーメイド枠」ですが、その他の枠や類型にも変更がありました。
※変更点の詳細は「ものづくり補助金の主な変更点」に記載しています。
ものづくり補助金は各公募回で変更などがあるため、「正直どの枠で応募すべきかわからない」という事業者様も多いのではないでしょうか?
そこで、本記事では「自社はどの枠で申請すべき?」という疑問を解決するため、自社の状況別でおすすめの申請枠が分かるフローチャートを作成しました。
また、補助金の上限額や補助率をアップさせる方法も併せてお伝えしているので、ぜひ枠選びの参考にしてください。
【本記事の内容:】
経営ビューイングでは認定支援機関として豊富な実績とノウハウで、事業計画策定から申請手続き、採択後のアフターサポートまで一貫した支援を行なっています。
ご相談も受け付けておりますのでお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
目次
下記のフローチャートに「はい」「いいえ」で答えることで、自社の状況や自社の今後の事業目標を実現するためにおすすめの申請枠・類型がすぐ分かります。
各枠の詳細な説明はフローチャートのあとに記載しているので、あわせてご覧ください。
結果はいかがでしたか?
※省略化補助金(カタログ型)とは令和6年度新設の、人手不足解消のための生産プロセスの省略化・生産性向上に特化した補助金です。
趣旨はものづくり補助金の「省力化オーダーメイド枠」と同じですが、導入設備が標準設備で特注設備ではないという点が、ものづくり補助金と異なります。
省略化補助金(カタログ型)についてはこちらの記事で解説しているので、フローチャートで「省略化補助金」が最適だった方はこちらの記事にぜひ目を通してください。
では、つづいてものづくり補助金の各枠・類型の概要をお伝えします。
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
省力化(オーダーメイド)枠 | 5人以下 750万円 (1,000万円) 6~20人 1,500万円 (2,000万円) 21~50人 3,000万円 (4,000万円) 51~99人 5,000万円 (6,500万円) 100人以上 8,000万円 (1億円) | 中小:1/2※ 小規模・再生:2/3 ※1,500万円までは1/2、1,500万円をこえる部分は1/3 💡本枠は賃上げ実施時の補助上限額が最大+2,000万円まで拡充 |
製品・サービス高付加価値化枠 ①通常類型 | 5人以下 750万円 (850万円) 6~20人 1,000万円 (1,250万円) 21人以上 1,250万円 (2,250万円) | 中小:1/2※ 小規模・再生:2/3 ※新型コロナ回復加速化特例2/3 |
製品・サービス高付加価値化枠 ①成長分野進出類型 | 5人以下 1,000万円 (1,100万円) 6~20人 1,500万円 (1,750万円) 21人以上 2,500万円 (3,500万円) | 2/3 💡本枠は補助率・上限額が手厚い |
グローバル枠 | 3,000万円 (4,000万円) | 中小:1/2 小規模・再生:2/3 |
【対象事業】
人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
💡留意点
オーダーメイド枠は「オーダーメイド設備」の導入を支援するので、単なる汎用性が高いロボット単体での導入はNGです。
システム開発などを行うシステムインテグレータ(Sler)と協力し、自社の生産ラインの省力化につながるようなロボットシステム等を構築する必要があります。
💡要件や留意点の詳細はこちらの記事で詳しく解説しています
💡補助金額について
本枠は原則中小企業が1/2、小規模事業者が2/3です。
ただし、中小企業の場合、補助金額が1,500万円までのものは1/2以内、1,500万円をこえる部分は1/3以内が適応されます。
💡活用イメージ
熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(Sier)と共同で開発したAIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・24時間操業を実現。
組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。
製品・サービス高付加価値化枠は、「①通常類型」と「②成長分野進出類型(DX/GX)」の2つの類型があります。
【①通常類型】
革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
💡活用イメージ
最新複合加工機を導入し、精密加工が可能となり国際基準に準拠した部品を開発
【②成長分野進出類型(DX/GX)】
今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
💡活用イメージ
AIやセンサー等を活用した高精度な自律走行搬送ロボットの試作機を開発
【対象事業】
海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
💡活用イメージ
海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展
補助率や補助上限額をアップする方法は大きく2つあります。
💡また、小規模事業者は小規模というだけで、すべての類型で補助率が2/3になります!
それでは上記3つの方法について詳細を記載していきます。
新製品やサービスの開発を行う場合、これから成長が見込まれる分野であるデジタル技術の活用やカーボンニュートラルに資する取り組みにすることで、下記のように「通常類型」と比較して補助上限額がアップします。
また「通常類型」では中小企業の補助率は1/2・小規模事業者は2/3ですが、「成長分野進出類型」では事業規模にかかわらず補助率が2/3となっています。
枠や類型に関わらず、従業員の大幅な賃上げに取り組む場合、従業員数に応じて補助上限額が100~2,000万円引き上げられます(下表参照)。
【💡大幅な賃上げってどのくらい?】
大幅な賃上げの要件とは、補助事業期間終了後3~5年で
賃上げに係る計画書を提出することです。
事業場内最低賃金の考え方は下図の通りです。
「地域別最低賃金+50円以上の水準」+「毎年+50円以上増額」の要件を満たすには、補助事業終了1年後は最低賃金を+100円以上増額する必要があります。
大幅賃上げを行わない場合の基本要件と比較すると、賃上げの幅が大きいことがわかります。
要件 | 基本要件 | 大幅な賃上げ |
---|---|---|
①給与支給総額 | 年平均成長率+1.5%以上 | +6%以上 |
②最低賃金 | 地域別最低賃金+30円以上の水準 | +50円以上の水準 かつ、毎年事業場内最低賃金を+50円以上増額 |
③補助金返還の要件 | 事業計画終了時点において①が未達 事業計画期間中の毎年3月末時点において②が未達の場合、補助金の一部返還 | 事業計画終了時点において①が未達 事業計画期間中の毎年3月末時点において②が未達の場合、上乗せ分を返還 |
付加価値額 | 年率平均成長率+3%以上 | 同左 |
しかしながら、大幅な賃上げを実施することで補助上限額の引上げや、審査において加点になるなどメリットが多いです。
省力化オーダーメイド枠は、新設させる枠です。
ものづくり補助金以外の補助金でも、「人手不足解消のための省力化を実現する設備導入」に対する支援策が多いので、政府が中小企業に実施してほしい事業内容だということが分かります。
また、賃上げも昨今の物価高上昇の影響で、政府が大手企業に止まらず中小企業に対しても実施を求めています。
ですので、ものづくり補助金「省力化枠」は他の類型と比較して、大幅な賃上げを実施したさいの補助上限額の引上げ幅が大きいのです。
省力化で生産性向上を図り、賃上げを実施する予定であれば、ぜひ活用いただきたい枠です。
本記事では、自社に最適なものづくり補助金の応募枠および補助上限額・補助率をアップする方法をお伝えしました。
弊社では、事業者様に最適な応募枠や事業内容の策定を面談を重ねて決定し、2人3脚で応募から補助金受取後のアフターサポートまで一貫して行っています。
随時ご相談を受け付けておりますので、まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。