
人手不足への対応や業務効率化を目的として、設備投資を検討している中小企業におすすめしたいのが「省力化投資補助金」の一般型(オーダーメイド枠)です。
省力化補助金は、機械設備やシステムの導入によって作業時間を削減し、生産性向上や賃上げにつなげる取組を支援する制度です。
本記事では、省力化補助金の仕組み、補助上限額・補助率、対象設備、申請要件、注意点をわかりやすく解説します。
※本記事は2026年10月29日時点の情報および一般型・第8回公募要領に基づいています。第9回公募要領の公開後、最新情報に更新する予定です。
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省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業等が、省力化設備の導入によって生産性を高め、売上拡大や賃上げにつなげることを目的とした補助金です。
大きく分けて、次の2種類があります。
| 項目 | ★一般型 | カタログ注文型 |
|---|---|---|
| 特徴 | 自社の業務に合わせた設備導入・システム構築を支援 | 登録済みの省力化製品から選んで導入 |
| 対象設備 | オーダーメイド設備や複数の機器を組み合わせた設備等 | 製品カタログに登録された設備 |
| 申請の特徴 | 詳細な事業計画が必要 | 比較的簡易な申請手続き |
| 向いている事業者 | 自社の工程や業務に合わせた省力化を進めたい企業 | 登録済みの設備を導入したい企業 |
本記事では、自社に合わせた設備投資ができる「一般型」を中心に解説します。なお、カタログ型については、こちらを参照ください。
一般型の補助上限額は、従業員数によって異なります。

省力化補助金(一般型)では、大幅な賃上げに取り組む事業者に対し、補助上限額を最大2,000万円引き上げる特例が設けられています。適用には、以下の両方を満たす事業計画が必要です。
ただし、目標を達成できなかった場合は、上乗せ分の補助金返還を求められることがあります。また、再生事業者など一部の事業者は対象外です。
一般型では、次の経費が対象となります。
| 対象経費 | 内容 |
|---|---|
| 機械装置・システム構築費 ※オーダーメイド性・自社に合わせた設備を組み合わせて導入 | 機械設備、専用ソフトウェア、情報システム等 |
| 運搬費 | 補助事業に必要な運搬費用 |
| 技術導入費 | 知的財産権等の導入に必要な費用 |
| 知的財産権等関連経費 | 特許権等の取得に関する費用 |
| 外注費 | 補助事業に必要な加工・設計等の外注費用 |
| 専門家経費 | 専門家から技術指導等を受ける費用 |
| クラウドサービス利用費 | 補助事業に必要なクラウドサービスの利用費用 |
機械装置・システム構築費は必須経費であり、少なくとも1つ、単価50万円(税抜)以上の機械装置等への設備投資が必要です。
省力化補助金(一般型)では、事業者ごとの業務内容や課題に合わせて設計・構成された「オーダーメイド設備」の導入が重要です。
オーダーメイド設備とは、ICT・IoT・AI・ロボット・センサー等のデジタル技術を活用し、事業者ごとの業務に合わせて専用設計された機械装置やシステムを指します。
ただし、必ずしもゼロから特注製造する必要はありません。既製品であっても、導入環境に合わせて機能や構成を変更したり、複数の汎用設備を組み合わせたりすることで、より高い省力化効果や付加価値を生み出す場合には、オーダーメイド設備とみなされることがあります。
既製品であっても、次のような取組を組み合わせることによってオーダーメイド性を持たせることが可能です。
一方、汎用設備をそのまま単体で導入するだけでは、一般型の対象となりません。
設備の構成や機能が自社の業務に適していることに加え、既存の作業工程と比較して、より高い省力化効果や付加価値向上が見込めることを説明する必要があります。
また、カタログ注文型に登録された製品についても、そのまま導入するのではなく、導入環境に合わせた機器構成や機能の変更などが必要です。
一般型では、設備そのものの性能だけでなく、自社の業務に合わせてどのような工夫を行い、省力化につなげるかがポイントとなります。ゼロから設計した特注設備だけでなく、既製品を組み合わせた設備も対象となる場合があります。下記は業種ごとで想定される設備の導入例です。
| 業種 | 設備導入・オーダーメイド性の例 |
|---|---|
| 製造業 | NC加工機に自社製品に適した加工プログラムや自動工具交換機能等を組み合わせ、複数の加工工程を集約・自動化する |
| 木工・家具製造業 | パネルソーと加工データ管理システムを連携させ、部材ごとの寸法情報を読み込んで切断作業や段取り替えを省力化する |
| 食品製造業 | 製品の形状・サイズや生産量に合わせて搬送・計量・包装設備を構成し、手作業による投入・包装工程を自動化する |
| 物流・倉庫業 | 倉庫のレイアウトや取扱商品の特性に合わせて搬送設備・仕分けシステムを組み合わせ、運搬・仕分け作業を省力化する |
例えば木工・家具製造業では、単に新しいパネルソーを購入するのではなく、自社の製品寸法や加工工程に合わせて設備仕様を選定し、加工データとの連携によって作業時間を短縮するといった取組が考えられます。
設備導入前後の作業時間や人員配置を比較し、オーダーメイド性と省力化効果の両方を具体的に示すことが重要です。
一般型では、3〜5年間の事業計画を策定し、次の要件を満たす必要があります。
| 項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 労働生産性 | 年平均成長率4.0%以上の向上 |
| 給与支給総額 | 従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の増加 |
| 事業場内最低賃金 | 地域別最低賃金+30円以上の水準 |
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 足下の賃上げ | 応募申請時の直近決算期から基準年度までに、従業員1人当たり給与支給総額を物価上昇率を上回る程度に引き上げる計画。未達の場合は審査上大幅に不利 |
| 付加価値額 | 基準年度と比較して増加する計画 |
| 省力化効果 | 省力化指数を算定し、業務削減効果を示す |
| 投資回収期間 | 根拠資料とともに算定 |
| 一般事業主行動計画 | 従業員21人以上の場合、交付申請時までに公表等が必要 |
※最低賃金引き上げ特例適用事業者など、一部要件の取扱いが異なる場合があります。
また、応募時点で従業員が0人の事業者は申請できません。
省力化補助金(一般型)では、自社の業務に合わせた設備構成・機能の工夫に加え、導入による省力化効果を具体的に示す必要があります。設備導入前後の作業時間や必要人員を比較し、どの工程をどの程度省力化できるのかを数値で説明することが重要です。
さらに、削減できた時間や人員を受注拡大・品質向上・高付加価値業務などにどのように活用するかも検討しましょう。
省力化補助金では、設備導入後の賃上げ計画だけでなく、補助事業が完了するまでの「足下の賃上げ」も評価されます。第8回公募要領では、応募申請時の直近決算期から基準年度までの従業員1人当たり給与支給総額について、物価上昇率を上回る程度の年平均成長率を確保できない計画は、審査上大幅に不利になるとされています。
また、足下の賃上げについては、採択後から交付決定までの間に従業員へ表明する必要があります。
「足元の賃上げ」についてはこちらで詳しく解説しています。
労働生産性4.0%以上、1人当たり給与支給総額3.5%以上などの成長率は、基準年度を起点に計算します。第8回公募以降では、基準年度は「補助事業が完了した日を含む事業年度の決算期」とされています。
申請時の直近決算期とは異なるため、事業計画の数値を算定する際には注意が必要です。
事業計画で設定した給与支給総額の増加目標や、事業場内最低賃金の要件を達成できなかった場合、補助金の一部または全部の返還を求められることがあります。
なお、労働生産性の目標未達成だけで、直ちに補助金返還となるわけではありません。実現可能な賃上げ計画を策定することが重要です。
補助対象となるのは、原則として交付決定後に契約・発注し、補助事業実施期間内に支払いを完了した経費です。
採択された段階では、設備を発注できるわけではありません。特に大型設備やオーダーメイド設備では、製造・納品・据付・検収までの期間を見込んでスケジュールを組む必要があります。
2026年10月29日時点で公表されている予定は、次のとおりです。
| 項目 | 第9回公募 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年11月4日 |
| 申請受付開始 | 2026年12月上旬予定 |
| 申請締切 | 2026年12月下旬予定 |
| 採択発表 | 未公表 |
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。取得に時間がかかる場合があるため、早めの準備をおすすめします。
省力化投資補助金は、人手不足の解消や生産性向上に向けた設備投資を支援する制度です。
一般型では、自社の業務に合わせた機械設備やシステムの導入が可能で、従業員規模や特例措置に応じて、最大1億円の補助を受けられる場合があります。
ただし、設備の購入だけでなく、省力化効果・投資回収・付加価値向上・賃上げまでを具体的に計画する必要があります。特に賃上げ要件には、目標未達成時の補助金返還リスクもあるため、申請前に十分な検討が必要です。
第9回公募への申請を検討している事業者は、最新の公募要領を確認しながら、設備メーカーとの調整や事業計画の準備を進めましょう。
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