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2024.04.05

事業継承・引継ぎ補助金(経営革新枠)の要点・採択ポイントを徹底解説

事業継承やM&Aを実施予定の事業者・個人事業主の事業継承・再編・統合・廃業に係る費用の一部を補助するのが「事業継承・引継ぎ補助金」です。

※直近の公募期間は、2024年4月1日~2024年4月30日17:00までです

本補助金には、3つの枠がありますが、本記事では事業継承・M&Aで新たに実施する経営革新や新事業(設備投資、販路開拓等)および廃業の経費を一部支援する「経営革新枠」について要点を解説します。

  • 事業継承・引継ぎ補助金(経営革新枠)の対象経費
  • 3つの類型の概要
  • 補助率・補助上限額
  • 補助対象となる事業
  • 留意点(事業継承の実施時期について)
  • 採択される事業のポイント

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事業継承・引継ぎ補助金は、中小企業だけではなく、個人事業主も対象としています。

本補助金で支援対象となる費用は事業承継、事業再編、事業統合に係る経費で、具体的にはつぎの通りです。

  • 事業の引き継ぎ後の設備投資やM&Aにかかった経費の一部
  • 事業転換を行うさいに発生する廃業登記費
  • 在庫処分費などの廃業費
事業継承・引継ぎ補助金(経営革新枠)の対象経費リスト
出典:事業継承・引継ぎ補助金募集要項(8次公募)


「経営革新枠」には3つの類型があります。

  • 創業支援類型
  • 経営者交代類型
  • M&A 類型

創業支援類型(Ⅰ型)

  • 事業承継を契機に創業を行い経営革新に取り組む方が対象
  • 創業とは、開業や法人設立のこと
  • 創業支援型を利用するには、事業承継対象期間(補助事業完了期限日から遡ること 5 年間)内に開業や法人設立を行い事業を承継することが条件

経営者交代類型(Ⅱ型)

  • 親族内承継や従業員承継等の事業承継
  • 経営者交代型を利用する事業者は、経営している法人の代表者交代で活用する場合が主
  • 同一法人内の代表者交代の場合は、事業承継対象期間以降(補助事業期間が終了する事業年度から5年後の事業年度まで)の事業承継でも経営革新事業の補助対象

M&A 類型(Ⅲ型)

  • 事業再編・事業統合等のM&Aを契機として、経営革新等に取り組む方が対象
  • 親族内承継は対象外であり、株式譲渡や事業譲渡、株式交換等のM&Aが補助対象

事業継承・引継ぎ補助金の補助率、補助上限額はつぎのとおりです。

いずれの類型も同じ金額と補助率になります。

事業継承・引継ぎ補助金(経営革新枠)の補助率・補助額 表

※補助下限額は100万円なので、補助対象経費(設備費など)に補助率2/3又は1/2をかけた金額が100万円を下回らないようご注意ください。

補助率について

下記に該当する補助対象者は2/3、該当しない場合1/2です。

  • 中小企業基本法上の小規模企業者
  • 物価高の影響等により、営業利益率が低下している者
    →直近の事業年度(申告済み)及び交付申請時点で進行中の事業年度において、
    (1)直近の事業年度(申告済み)と 2 期前の事業年度(通年)
    (2)直近の事業年度(申告済み)及び交付申請時点で進行中の事業年度のうち、
     それぞれ任意の連続する 3 か月(当該期間の前年度同時期)の平均
     上記(1)(2)の期間における営業利益率を比較した場合に低下していること。
  • 直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者
  • 再生事業者等

補助額の引き上げについて

下記を実施する場合は、補助額が600万円から800万円まで引上げることが可能です。
※ただし、600万円を請え800万円以下の部分の補助率は1/2以内

  • 補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上となる賃上げ
  • (①を既に達成している事業者は)補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金+50円以上となる賃上げ

※補足:補助率の考え方について

事業継承・引継ぎ補助金(経営革新枠)の補助率の考え方 図

補助対象となるのは、下記の要件を満たす必要があります

  • 引き継いだ経営資源を活用した経営革新等に係る取り組み
  • 補助事業期間を含む 5 年間の補助事業計画において、生産性(付加価値額※あるいは1人当たりの付加価値額)の伸び率が 3%/年の向上を含む計画であること。
  • つぎのいずれかを伴う事業であること
    ①デジタル化に資する事業
    ②グリーン化に資する事業
    ③事業再構築に資する事業(新製品の製造など)

※付加価値とは、営業利益+人件費+減価償却費です。


①デジタル化に資する事業

デジタル化に資する事業とは、下記の①②③を満たす事業のことです

①下記のいずれかを行う事業であること
 A) DXに資する革新的な製品の開発
    例:AI,IoT、センサーデジタル秘術を活用した背品、サービスの開発など

 B)  デジタル技術を活用した生産プロセス・サービスの提供方法の改善
    例:ロボット導入によるプロセス改善、受発注業務のIT化など

②経済産業省が公開する「DX推進指針」を活用し、自己診断を実施し、自己診断結果をIPAに提出すること

  DX 推進指標サイト:
   https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
  自己診断結果入力サイト(独立行政法人 情情報処理推進機構)  
  https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxpi.html

③IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を行っていること

  「SECURITY ACTION」公式サイト(制度概要):
  https://www.ipa.go.jp/security/security-action/index.html
  「SECURITY ACTION 自己宣言」申込みサイト:
  https://security-shien.ipa.go.jp/security/


②グリーン化に資する事業

グリーン化に資する事業とは、下記の①②③を満たす事業のことです

①下記のいずれかを行う事業であること
 A) 温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発
    例:省エネ・環境性能に優れた製品・サービスの開発など

 B)  炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善
    例:生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資

②提出した事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均 1%
以上増加する事業であること。


   経済産業省「エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツールの利用マニュアル」
  https://www.meti.go.jp/policy/economy/kyosoryoku_kyoka/toolmanual.pdf
  エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツール
  https://www.meti.go.jp/policy/economy/kyosoryoku_kyoka/keisantool.xlsx

③これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(有る場合はその具
体的な取組内容)を示すこと。


③事業再構築に資する事業

①~④のいずれかに該当する事業であること

①新分野展開

主たる業種や事業を変更することなく、新たな製品やサービスを提供すること。
※業種や事業の分類は。日本標準産業分類を参照ください。

💡ポイント:新たな製品やサービスは既存商品ではなく、自社にとって新規性が高い新しい製品であることが必須

②事業転換

主たる業種(製造業、建設業など)を変更することなく、主たる事業を変更すること

例: 既存事業が製造業のうち「分類コード12 木工・木製品製造業」である事業者の場合、事業を「13 家具・整備品製造業」へ変更するなど

③業種転換

主たる業種(製造業、卸売業など)を変更すること

主たる業種のリストはこちらで確認できます。

④業態転換

製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更すること。

またその提供方法は新規性を有するものである必要があります。


類型によって補助対象となる事業継承の時期が異なるので、ご注意ください。

第8次公募の場合、事業継承対象期間は2019年9 月17日から補助事業完了期限日である 2024年9月16日までです。

ただし、経営者交代類型(Ⅱ型)における同一法人内の代表者交代による事業承継においては、将来経営者となることが十分見込まれる後継者が選定されている場合、事業承継対象期間以降の事業承継においても、本補助事業の対象となります。

具体的には、補助事業期間が終了する事業年度から5年後の事業年度までです。


採択の方向性は、事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業者等及び、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者等ということで、新規性や実現可能性、収益性の高さが採択のポイントとなります。

具体的にはつぎのような事業や取り組みが、審査項目において高く評価されます。

経営革新等に係る取組の独創性】

技術やノウハウ、アイディアに基づき、ターゲットとする顧客や市場にとって新たな価値を生み出す商品、サービス、又はそれらの提供方法を有する事業を自ら編み出していること。

経営革新等に係る取組の実現可能性

商品・サービスのコンセプト及びその具体化までの手法やプロセスがより明確となっていること。事業実施に必要な人員の確保に目途が立っていること。販売先等の事業パートナーが明確になっていること。

経営革新等に係る取組の収益性

ターゲットとする顧客や市場が明確で、商品、サービス、又はそれらの提供方法に対するニーズを的確に捉えており、事業全体の収益性の見通しについて、より妥当性と信頼性があること。

経営革新等に係る取組の継続性】

予定していた販売先が確保できない等、計画通りに進まない場合も事業が継続されるよう対応が考えられていること。事業実施内容と実施スケジュールが明確になっていること。また、売上・利益計画に妥当性・信頼性があること。


本記事では事業継承・引継ぎ補助金(経営革新枠)についてお伝えしました。

  • 経営革新枠は、事業承継、事業再編、事業統合に係る経費、廃業の経費、新たな事業を実施する経費などが一部補助される
  • 補助上限額は事業場内最低賃金(地域別最低賃金)より+50円になる賃上げを補助事業期間終了時に達成した場合、600万円から800万円まで引上げ可能
  • 類型は3種類。それぞれ対象事業者や事業継承実施のタイムリミットが異なるで要注意
  • 事業は、デジタル化、グリーン化、事業再構築に資する事業であることが必須
  • 経営革新性が高く、新しい事業であることが採択のポイント

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