中小企業の売上拡大や生産性向上を後押しするため、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援する「中小企業省力化投資補助金」について徹底解説します。
本補助金は経済産業省4/22公表情報より、2024年度の採択予定数が42,000件と、事業再構築補助金(8,800件予定)よりも4.8倍多い補助金となっています。
本補助金のポイントは次のとおりです。
本補助金は指定された製品の中から自社のニーズに合った製品を選択するので、設備導入・補助金申請のハードルが低いと言えます。
経営ビューイングでは認定支援機関として豊富な実績とノウハウで、事業計画策定から申請手続き、採択後のアフターサポートまで一貫した支援を行なっています。
ご相談も受け付けておりますのでお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
それでは、中小企業省力化投資補助金の詳細を見ていきましょう。
目次
人手不足に悩む中小企業等が IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を導入するための事業費等の経費の一部を補助することにより、省力化投資を促進して中小企業等の付加価値額や生産性向上を図るとともに、賃上げにつなげることを目的とする。
人手不足の状態にある中小企業等
下記の事業者は本補助金へ応募不可なので、事前にご確認ください。
カタログに掲載された製品が補助対象です。
カタログには、例えば「自動倉庫」「検品・仕分システム」「清掃ロボット」など「製品カテゴリ」毎に登録された各種メーカーの汎用製品が記載されています。
中小企業等は、カタログの製品から自社の課題解決に最も適した設備を選択し、申請します。
中小企業などが導入できる設備のカタログが4月15日に公開されました。
https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/product_catalog.pdf
カタログはまだ未完で、今後、メーカー等からの申請によりカタログに掲載される具体的な製品が決定・公開される予定です。
💡省力化製品、製造事業者及び販売事業者の登録有効期間は、令和8年度末までなので、これから登録製品が増えていく予定です。
現状では、下記製品カテゴリが省力化設備として公開されています。
補助率は下記の通りです。
※補助額は従業員数ごとに異なります。
💡大幅な賃上げ要件を達成した場合、補助額が()内の額へ引き上げられます。
大幅な賃上げ要件とは、申請時と比較して補助事業期間終了時点で下記(a)(b)両方を達成し、かつ申請時に(c)をしていることです。
補助事業期間終了時点:
申請時:
⚠ただし、万が一補助事業期間終了時点で(a)(b)を達成できない場合は、補助額が減額されます。
💡大幅な賃上げはいわゆる「加点」になると明記はありませんが、公募要項には審査時、大幅な賃上げの実施も含め「総合的に判断」すると記載されています。
下記公募要項からの抜粋です。
本補助金と同様の支援を行う「ものづくり補助金」の「省力化枠」では、基本要件として賃上げが必須要件ですが、本補助金は賃上げ要件がありません。
基本要件として、労働生産性の向上目標を達成する必要があります。
【参考】
引用:公募要項
本補助金の最大のメリットは、汎用で省力化に即効性がある設備を、自社のニーズにあわせて導入できることです。
例えば、同様の支援があるものづくり補助金では、省力化設備を導入するには「オーダーメイドであること」、「1からシステムなどを設計すること」など導入のハードルが高くなっています。
中小企業等省力化補助金 カタログ型 | ものづくり補助金 (省力化オーダーメイド枠) | |
---|---|---|
導入設備 | 汎用機 →選択しやすい | ・汎用機なNG,オーダーメイド設備が必須 ・システムは1から設計 →より高度・高額な設備導入が必須 |
要件 | ・(必須)労働生産性の向上目標 ・賃上げノルマなし ★賃上げ実施した場合は補助額増額 | 賃上げ要件あり →給与支給額は最低年率1.5%向上 →事業場最低賃金の向上 |
サポート | 販売事業者からサポートを受けることが前提 | 銀行や認定支援機関 |
計画書 | 記入項目が人手不足・省力化に絞られている | 10ページ程度 |
一方、中小企業省力化投資補助金は、カタログの中から自社のニーズに合わせて製品を選択・導入でき、申請手続きも「販売事業社」がサポートしてくれるため、補助金がはじめての方でも検討しやすいです。
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本補助金の対象は「人手不足の状況にある中小企業等」なので、自社が人手不足の状況にあることを具体的に説明する必要があります。
事業計画では、下記4つの説明方法のうち、1つ以上選択して人手不足の状況を説明します。
①限られた人手で業務を遂行するため、直近の従業員の平均残業時間が30時間を超えている。
引用:公募要項
②整理解雇に依らない離職・退職によって従業員が前年度比で5%以上減少している。
※ただし、非正規雇用が主体の事業者については総労働時間を従業員数で代替することとする。
③採用活動を行い求人を掲載したものの、充足には至らなかった。
④その他、省力化を推し進める必要に迫られている。
💡④のみで説明する場合は、具体性を持たせるため、より詳細な説明と省力化計画(省力化量計算書、機器配置予定図)が求められるので、①~③で説明できるよう準備しましょう。
ポイント①の人手不足の状況を、設備導入でどのように改善できるか具体的に説明する必要があります。
①導入製品の使用方法について
②製品の導入により期待される省力化の効果
③省力化により既存業務から抽出できると期待される時間・人員の使途
(④大幅な賃上げを行う場合は、従業員に表明し、その旨を計画の提出とともに申請)
補助事業終了後は、毎年度4月~6月までに効果報告を実施します。
この時に、基本要件の労働生産性、(賃上げ)を報告します。
なお、効果報告は5回(5年)ですが、3回目(3年目)までが事業計画期間となるので、労働生産性の向上など基本要件の目標達成が求められます。
(事前準備)gBizIDの取得
(1)カタログから導入製品及び販売店を選択する
(2)販売店と連絡を取り、事業計画の作成を行う
(3)電子申請システムを通じて販売店と共同で交付申請を行う
(4)補助事業の実施
(5)販売店のサポートを得て事業実績報告を行う
※交付決定日から原則12か月以内
(6)補助金交付手続き
(7)事業実施効果報告を行う(販売店からのアフターフォロー)
→①省力化製品の稼働状況
→②事業計画の達成状況
※補助事業終了後、毎年4月から6月末までの間に実施
本補助金では、労働生産性の向上が必須要件となっています。
補助事業実施後の事業実施効果報告(上記「中小企業等の申請フロー」の(7))において、①目標が未達の場合、補助金の返還、または収益納付が発生する場合があるので、ご注意ください。
また、②賃上げにより、補助上限額の引き上げが適用されたにも関わらず未達の場合や、③本事業の成果により収益が得られたと認められた場合も、同様の返還措置が発生します。
①基本的事項
・法人の形態
・資本金
・従業員数
・自身の該当する業種(産業分類大分類若しくは中分類を元にリストされた選択肢から選択すること)
・役員情報
・株主比率
・過去3年間の課税所得
②他補助金の申請・採択状況
③人手不足に関する事項
④省力化の事業計画
⑤現在の給与支給総額及び事業場内最低賃金(賃金台帳から確認できる値)
⑥賃上げに関する状況
⑦直近の決算情報(損益計算書及び賃借対照表)
⑧一人当たり勤務時間の年間平均
※4月26日現在、申請開始時期などはまだ未公開なので、最新情報は随時更新します。
本補助金申請のためには、gBizIDの取得が必須です。
ID交付まで2~3週間かかることがあるので、こちらの公式HPより早めの取得をおすすめしています。
ここまで中小企業等の申請手続きやポイントを説明してきました。
さいごに、「中小企業等省力化補助金」全体のフローを説明します。
本補助金では、
(1)まずカテゴリ登録のための公募が実施されます。
この公募には工業会等の業界団体がカテゴリ創設のために参加します。
(2)カテゴリが創設されると、次に工業会に対して機器メーカーが製品を登録します。
(3)製品の登録が完了すると、代理店などが事務局に販売事業者登録を申請します。
(4)販売事業者が登録されると機器がカタログに掲載され、補助事業者が販売事業者のサポートを受けながら補助金申請を行うことになります。
💡本事業は、令和8年9月末頃までの間に複数回の公募が実施され、補助事業の申請が可能
💡省力化製品を製造する「製造事業者」・中小企業の交付サポートを行う「販売事業者」の公募も同様に令和8年9月末頃までの間に複数回実施される予定
💡カタログ製品(および「製造事業者」・「販売事業者」)の有効登録機関は令和8年度末ですので、これから増々カタログ製品が充実していく見込み
本記事では「中小企業省力化投資補助金」についてお伝えしました。
本補助金のポイントは下記のとおりです。
カタログが自社のニーズにマッチした製品を選択でき、サポートも得られるため、補助金がはじめての方でも申請しやすい補助金です。
人手不足でお困りの事業者の皆様にはぜひご活用いただきたい補助金です。
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