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2024.04.08

テンプレ付き!ものづくり補助金【省力化枠】の事業計画書の書き方を解説

ものづくり補助金を申請したいけど、
「事業計画書の書き方がよくわからない」
「採択されるポイントや書き方を知りたい!」
…という方も多いのではないでしょうか?

実は、採択される事業計画書には共通点があります。

  1. 審査項目
  2. 採択される事業計画書の共通点
  3. 採択される事業計画書の設備選定&テーマ選定のポイント

記事のさいごには、今すぐ活用できる事業計画書のテンプレも公開しているので、ぜひ最後まで本記事を読み進めてください!

人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等が補助対象の枠です。

【デジタル技術等を活用した専用設備とは…】

✓ ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するもの

✓ 外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のこと

✓ システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムをもとに、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する開発方式のこと

⚠ 上記デジタル技術を活用していない汎用機の導入は対象になりません

事業計画書を書き始める前に、ものづくり補助金の審査項目をみてみましょう。

審査項目詳細
A適格性給与支給総額(最低年率1.5%)
事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
付加価値額の増加(年率平均3%以上)
B技術面補助事業の内容の革新性
課題/目標および解決方法の明確さ
補助事業の目標や達成度を明確に設定しているか
課題解決方法の優位性技術的能力
C事業化面事業実施体制の妥当性
財務状況、資金調達計画
市場ニーズの有無
ユーザーの明確性
スケジュールの妥当性
事業の費用対効果(売上目標)
事業の価格的・性能的有益性・収益性が
D政策面地域経済への効果
ニッチトップの潜在性
環境配慮性・低炭素技術の活用
先端的なデジタル技術、IoT技術の活用
ウィズ&アフターコロナ対応の有効性
(加点項目)A~Dに加え、満たすことで審査点が加点されます。 事業計画書作成のうえで詳細は不要なので、本記事では割愛しますが、詳細を知りたいかたは記事最後の「補足:加点項目について」を参照ください
省力化枠特有条件3~5年の事業計画期間内に、
①労働生産性が2倍以上になる計画
②投資回収可能な計画
※投資回収年数:投資額÷(削減工数×人件費単価)
③Sler使用の場合、保守・メンテナンス契約を締結
④金融機関から調達予定の場合は、金融機関確認書を提出
※審査項目は応募回で更新されることがあります

A適格性は、ものづくり補助金に申請するうえで必須の項目ですので、事業計画が「適格性」の項目を必ず満たすようにしましょう。

B~Dの審査項目を踏まえ、次は採択される事業計画書作成の共通点を解説していきます。


弊社ではこれまで、およそ650社、合計約40億円の採択実績がありますが、採択される事業計画書には3つの共通点があります。

  1. 事業展開に革新性がある
  2. 矛盾がなく一貫した計画である
  3. 誰にでも分かりやすい計画である
  4. 省力化枠の場合、省力化の効果(労働時間の削減、人件費の削減、工数の削減など)がはっきり事業計画書内で計算されていること

それぞれのポイントを、詳しく解説していきます。

※④は「事業計画書作成のテンプレ」内で解説してます。


1.事業展開に革新性がある

ものづくり補助金の目的は、「中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資を支援」することです。

革新性」が大きなキーワードになります。

一見難しそうですが、補助事業の内容が下記を満たす内容であれば革新性が高いと言えます。

  • 同業他社との差別化を図る優れたビジネスモデルを構築する計画
  • まだ一般に普及していない製品やサービス
    →例えば、新しい素材を活用する、異素材を組み合わせる、高精度加工による今までにないデザイン、体験、価値を提供
  • 社会性やニーズへの適応が読みとれる計画

新たに取り組む内容が、どのように新しく、どのように他社と差別化を図れ、どのように優位性が高いのかを説明し、さらに、市場調査で市場規模やニーズの分析をするのが重要です。

上記3点を満たす計画は、売上が見込める費用対効果が高い計画と言えるため、採択されやすくなります。


2.矛盾がなく一貫した計画である

事業計画書は10ページ以内で補助事業の内容や市場ニーズ等をまとめる必要がありますが、最初から最後まで一貫した計画であることが重要です。

  • 自社の課題と解決策(補助事業内容)が妥当で一貫している
  • 絵にかいた餅ではなく、実直な計画で自社の強みを活かした実現可能な計画
  • 成長性が見込める計画

【💡ポイント】

ものづくり補助金は、中小企業小規模事業者の生産性向上や持続的な賃上げに向けた革新的な製品・サービスの開発に必要な設備投資を補助するものなので、

自社の現状の課題の分析+補助事業が課題の解決策となり、「新製品開発・生産性向上→売上増→賃上げ」へ向かう取り組みであることを明記することがポイントです。

事業計画書を通して、なぜ、どのように、補助事業が自社の課題を解決し、目標を達成できるのかを分かりやすく主張することで、一貫性があり納得できる計画書になります。


3.誰にでも分かりやすい計画である

ものづくり補助金を審査する審査員は、必ずしもその分野の専門家ではありません。

ですので、事業計画書の内容は専門家以外の方が読んでも内容が容易に理解できるよう、書き進めることを意識しましょう。

  • 専門用語の解説をしっかり行っている計画
  • 適切に写真や図解をつかって、分かりやすい表現になっている計画

採択される事業計画書の共通点を踏まえ、つぎは設備選定のポイントや補助事業のテーマ選定のポイントをみていきましょう。


前述のように、省力枠は人手不足の対応として、省力化設備の導入支援ですので、テーマは基本的に「デジタル技術を活用した革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化」です。

例えば、

  • 製造業が多関節ロボットを導入し、人手不足や組立動作ロスの解消に取り組む。ロボットにはAIや3Dカメラ、センサーを搭載し、製品組立の部品をすべて供給するシステムを構築。
  • 製造業が自動組み立てロボットを導入し、手作業で行っていた家具の組立をすべて自動化。AIを搭載し、オーダー製品の組立にも対応
  • 建築業が汎用のCAD/CAMソフトと製造管理ソフトに自社の製品デザインや製造工程にあわせたカスタマイズを行う。システム導入により、図面作成の効率化および設備の稼働率の改善による生産性向上を達成。
  • 物流サービス業が自動荷役・積替ロボットを導入し、人手不足や高齢化に対応

💡いずれの取り組みも、汎用機ではなく、自社の製造ラインに適したオーダー仕様の設備導入が必須です。


テーマ選定と同様、設備の選定にもポイントがあります。

  • 導入設備は補助事業を実行するために必要不可欠であることを明記
  • 同じ設備は原則1つまで
  • ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するもの
  • 外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のこと
  • システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムをもとに、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する開発方式のこと
  • 設備は高スペックで得られる効果が高いほどよい
  • 生産工程のIT化ができる設備導入が望ましい
  • 設備導入することで環境問題解決に貢献できるか

【💡ポイント】

省力枠では革新的な生産プロセスの効率化・高度化が重要なので、テーマ選定のさいは設備のスペック、何をオーダーメイドにするのか、どのようなデジタル技術(AI、IoT、ロボット)を活用するのか、設備同士の連動、環境配慮も考慮し、計画を組み立てていきましょう。


事業計画書のテンプレは各項目を順に記載して作成します。

前述の「採択される事業計画書の共通点とポイント」を踏まえて書くと、より採択率があがります。

弊社、経営ビューイングでは事業計画書の作成サポートを得意としており、過去○○件の採択実績があります。

自社で事業計画書を作成した申請したけど、不採択だった…」という企業様からのご依頼をいただくことも多いので、まずはこちらからお気軽にご相談ください!

それでは事業計画書のテンプレを大公開します。

テンプレに項目に沿って記載していけば、審査項目の要点を満たすようになっているので、自社で申請対応する場合はぜひご活用ください。

【その①補助事業の具体的取り組み内容】

  • 会社概要
    ・既存事業の内容や成果
    ・主力製品
    ・取引先情報
    ・売上状況
    ・現在のビジネスモデル・経営戦略
    ・将来のビジョン(業績の目標、従業員の新規採用、新しい取り組みへの挑戦など)

  • 自社のSWOT分析
    ・自社の強み、弱み、経営機会、脅威の洗い出し

  • 補助事業の動機・必要性
    ・SWOT分析の結果を踏まえて自社が解決すべき課題や、経営機会などを踏まえ、補助事業に至った経緯を丁寧に説明
    💡省力化枠では、人手不足の状況、課題を具体的に記載すること

  • 解決策(補助事業の内容)
    ・課題をどのような補助事業で解決するのか
    ・補助事業の具体的な内容、目標、実施項目

  • 事業実施のための導入設備
    ・設備詳細
    ・設備の必要性

  • 事業成果
    ・設備導入後の業務フローの変化(図などを活用し、工場内のどこに新設備が設置され、業務フローがどのように変化するのかを矢印などを使いながら視覚的に提示)
    ・設備導入前後の生産工程の変化
    ・歩留まり率、作業時間、労働時間、納期、精度の向上など具体的な数字で示す

💡省力化枠では、設備導入により、どの工程がどの程度効率化されるのかを明記すること
  →作業工程のフロー図や、生産工程の前後比較表などを使って視覚的に提示します。

省力化枠 生産工程フロー図 設備導入前後比較

出典:ものづくり補助金HP

  • 実施体制やスケジュール
    ・社内・社外体制
    ・補助事業の実施スケジュールおよび補助事業実施後の事業化スケジュール

  • 中小企業の特定ものづくり基盤技術およびサービス高度化等に関する指針との合致
    こちらの指針を確認し、補助事業で達成される指針について説明

【その②将来の展望】

  • 補助事業が対象とする市場規模・ターゲットについての調査
    ・ニーズがあるのか
    ・今後成長性があるのか(補助事業で取り組んで売上が見込めるか)
    ・4P分析などを活用し、説明していく
  • 競合他社分析、自社の優位性
    ・補助事業を実施することでどのように差別化できるのか
    ・価格、性能、収益面での優位性

  • マーケティング・販売戦略
    具体的な販売先や新規顧客開拓計画など

  • 補助事業実施後のスケジュール
    3~5年後までの事業化見込みについてスケジュールを記載

  • 売上計画
    ※審査項目「A適格性」の給与支給額、事業場内最低賃金、付加価値額などの要件を満たすこと
    ・単価、個数、売上規模などを明記
    新製品・サービスの売上高が既存事業の売上を含む事業全体の売上高の10%以上になっている

【★省力化枠 特有の記載項目】

省力枠では、労働生産性2倍の要件と投資回収年数の要件があるので、下記のように算出し、その算出根拠を事業計画書内に明記する必要があります。

  • 労働生産性向上の算出
    省力化枠の要件では、事業計画期間終了時に労働生産時が申請当時の2倍になっているか

    労働生産性は、
    付加価値額÷労働時間で求めます。

    ※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

    (A)現状の労働時間は、
     現在省力化する工程に必要な人数(例:5人)×労働時間(例:1日8時間)×労働日数(例:月20日)×12カ月で算出


    (B)設備導入後の労働時間は、
     設備導入後、省力化できた工程に必要な人数(例:5人→3人)×労働時間(例:1日8時間)×労働日数(例:月20日)×12カ月で算出
  • 補助事業の投資回収年数の算出
①投資額設備の見積書(税込)より
②削減工数上記(A)-(B)
③年間人件費直近決算書の製造原価の労務費より
④工程数(補助事業実施前)上記(A)
投資回収年数 ①÷(②×(③÷⑨))
  • 付加価値額成長率・給与支給率達成の根拠
    設備導入後の省力化・生産性向上により、どのように付加価値額が伸び、給与支給要件を達成できるのかを説明。

    例えば、設備導入後は、受注率や売上単価が○%増加するため、売上が○%増加する、など

このように事業計画書の作成には、考えるべきポイントがたくさんあり、市場調査や競合他社分析、スケジュール作成、売上計画などなどやることは山盛りです。

ですので、早め早めに作成することが一番のポイントです。

ものづくり補助の公募は2024年現在、年に2回へ縮小されたため、締め切りを逃したり不採択になったりすると、事業開始や設備導入がどんどん後になってしまいます。

採択率も回を重ねるごとに低くなっている傾向があるので、なるべく早く申請しましょう。

もし、「ものづくり補助に申請したいけど、既存事業の業務で手一杯で時間がない」という場合は、お問い合わせフォームより弊社までご相談ください。

事業者様とのヒアリングをしたうえで事業計画書を作っていくので、ご要望は反映されますし、およそ650社、合計約40億円の弊社のノウハウを駆使し、より採択されやすいテーマなどのご提案も行っています

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