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2026.09.14

【令和8年度】神奈川県「中小企業生産性向上促進事業費補助金」を解説|最大500万円、設備投資を支援

物価高騰や人手不足への対応として、生産性向上につながる設備投資を検討している神奈川県内の中小企業に注目したいのが、「中小企業生産性向上促進事業費補助金」です。

令和8年度は、一般枠では最大500万円、小規模事業者の場合は補助率2/3以内で、生産性向上や業務プロセスの改善、人手不足解消につながる設備導入などが支援されます。

さらに令和8年度からは、M&A後の事業統合を支援する「グループ化支援枠」と、創業間もない事業者を対象とした「創業者成長支援枠」も設けられました。

この記事では、令和8年度の補助対象者や補助率、対象経費、前年度からの主な変更点、今後の追加公募の可能性について、神奈川県の公式情報をもとに解説します。

※本記事は2026年9月4日時点で公表されている情報をもとに作成しています。


中小企業生産性向上促進事業費補助金は、物価高騰や深刻な人手不足などの厳しい経営環境にある県内中小企業の「稼ぐ力」を安定・強化し、その利益を原資とした賃上げにつなげることを目的とした神奈川県の補助制度です。

生産性向上につながる設備導入などを支援する制度で、県の公式サイトでは、対象設備の例としてNC工作機械、マシニングセンタ、ロボット、溶接機、自動検査装置、オーブン、ミキサー、自動精算機、フォークリフトなどが示されています。

なお、本補助金は国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(重点支援地方交付金)」を活用した事業です。


令和8年度からは、「グループ化支援枠」と、創業間もない事業者を対象とした「創業者成長支援枠」が新たに設けられました。補助金額や上限は下記の通りで、小規模事業者の補助率は優遇されています。

公募枠主な対象・内容補助率補助上限額
一般枠生産性向上に資する設備導入等中小企業1/2以内、
小規模事業者2/3以内
500万円
※下限額25万
グループ化支援枠M&A後の事業統合に伴う設備導入等中小企業1/2以内、
小規模事業者2/3以内
1グループ化あたり4,000万円
※1申請あたり下限額500万
創業者成長支援枠創業間もない事業者による設備導入等2/3以内300万円
※下限額25万

なお、一般枠の下限額は25万円、グループ化支援枠は1申請あたり500万円、創業者成長支援枠は25万円です。


一般枠では、神奈川県内の事業所で補助事業を実施する中小企業者のほか、一定の要件を満たす特定非営利活動法人(NPO法人)や社会福祉法人も対象となります。

主な補助要件として、

  • 付加価値額を年率平均1.5%(3年間で4.5%)以上増加させる計画であること
  • 給与支給総額を増加させること
  • 申請日時点で神奈川県内の事業所で実態のある事業を営んでいること
  • 補助対象事業を神奈川県内の自社事業所で実施すること

などが定められています。

単に設備を購入すればよい制度ではなく、設備投資によってどのように生産性を高め、その成果を賃上げにつなげていくのかを事業計画で示すことが重要です。


令和8年度の主な補助対象経費は、次の3区分です。

経費区分内容個別上限
機械装置等費事業に必要な機械装置等の購入
ITサービス導入費ITサービスやシステムの導入・開発50万円
施設工事費機械装置等の設置に必要な最低限の改修工事100万円

一般枠全体の補助上限額は500万円です。

例えば製造業では、NC工作機械、マシニングセンタ、ロボット、溶接機、自動検査装置などが例示されています。

また、NC工作機械やマシニングセンタなどと一体となって導入するCAD等のソフトウェアについては「機械装置等費」として扱われます。一方、CADソフトだけを導入する場合は「ITサービス導入費」となります。

設備とCAD/CAM等を組み合わせた生産工程のデジタル化を検討している製造業にとっても、活用を検討しやすい制度といえます。


単なる設備更新は対象外

注意したいのが、古くなった機械を新しい機械へ入れ替えるだけでは対象になるとは限らない点です。

県は、

  • 単なる設備更新で生産性向上につながらないもの
  • 執務環境の改善など、生産性向上に直接寄与しないもの
  • 自動車やスマートフォン、事務用プリンターなど汎用的に使用できる機械
  • レンタル・リース費用

などを対象外経費として示しています。

そのため、「設備が古いから更新したい」ではなく、設備導入によって作業時間、処理能力、生産量、売上、付加価値額などをどのように改善するのかを具体的に説明する必要があります。


令和8年度は、一般枠の補助上限額や補助率など基本的な部分は前年度から維持されていますが、制度の内容にはいくつか重要な変更があります。

項目令和7年度令和8年度
一般枠上限500万円500万円
中小企業の補助率1/2以内1/2以内
小規模事業者の補助率2/3以内2/3以内
ITサービス導入費上限50万円上限50万円
施設工事費上限100万円上限100万円
付加価値額要件年率平均1.5%以上年率平均1.5%以上
給与要件給与支給総額を増加給与支給総額を増加
グループ化支援枠なし新設・最大4,000万円
創業者成長支援枠なし新設・最大300万円
交付決定前の着手原則不可事前着手届により申請日から可能

令和7年度の一般枠では、補助上限500万円、ITサービス導入費50万円、施設工事費100万円という構成でした。令和8年度も一般枠については、この基本的な補助内容が引き継がれています。


大きな変更①「グループ化支援枠」の新設

令和8年度の大きな変更点が、グループ化支援枠の新設です。

令和7年4月1日以降にM&Aによる事業買収等を行った事業者を対象として、グループ化後の事業統合に伴う設備投資等を支援します。

補助上限額は1グループ化あたり4,000万円と、一般枠より大幅に大きく設定されています。


大きな変更②「創業者成長支援枠」の新設

もう一つの新設枠が創業者成長支援枠です。

令和5年4月1日以降に創業した県内中小企業者等を対象としており、補助上限300万円、補助率2/3以内です。

また、補助金の交付を受けるまで継続して、地域の支援機関による伴走支援を受けることなどが要件となっています。支援を受けることができる機関は公募要項の47ページ(一番最終ページ)に記載されています。


大きな変更③申請日からの「事前着手」が可能に

令和7年度は、原則として交付決定後に発注・契約等を行う必要がありました。

一方、令和8年度は原則として交付決定後の着手という点は変わりませんが、申請時に「事前着手届」を提出した場合に限り、申請日から事業に着手できるようになっています。

ただし、事前着手を行ったからといって採択が保証されるわけではありません。不採択となった場合には補助金を受け取れないため、この点には十分な注意が必要です。


令和8年度は採択審査において、以下のような取り組みが加点対象とされています。

「パートナーシップ構築宣言」「事業継続力強化計画」「事業承継計画書」に加え、6月公募では米国関税・日産自動車生産縮小の影響、7月・8月公募ではこれらに中東情勢の影響を加えた事業者についても一定の加点措置が設けられています。

なお、パートナーシップ構築宣言等は申請の必須要件ではなく、あくまで加点項目です。


一般枠・グループ化支援枠については、次の日程で3回に分けて公募が実施されました。現時点では、令和8年度の2次公募・追加公募について神奈川県から公式な発表は確認できません。

ただし、前年度の令和7年度には、当初の8月公募終了後に2次公募が追加実施されています。

令和7年度は8月29日に当初公募を終了した後、2025年9月4日に2次公募の実施が発表され、9月8日~10月3日まで申請を受け付けました。

そのため、令和8年度についても今後追加公募が実施される可能性は考えられます。

公募受付期間
6月公募2026年5月1日~6月30日
7月公募2026年7月1日~7月31日
8月公募2026年8月3日~8月31日

本補助金では、設備を導入すること自体ではなく、設備投資によって生産性をどのように向上させるのかが重要です。

令和8年度の公募要領では、審査項目として、付加価値額を3年間で4.5%以上増加させる実現可能性、増加した付加価値額を給与へ適切に分配する計画となっているか、設備投資額が採算の取れるものか、財務状況からみて資金計画が実現可能か、といった点が示されています。

そのため、事業計画を作成する際には、例えば、

「現在は1工程60分かかっている → 設備導入後40分へ短縮 → 1日あたりの生産数量を増加 → 受注可能件数の増加 → 売上・付加価値額の増加」

といったように、現状の課題→設備導入→生産性向上→売上・付加価値額の増加→賃上げまでを一連のストーリーとして説明できるようにしておくことが重要です。


神奈川県の「中小企業生産性向上促進事業費補助金」は、生産性向上や人手不足の解消につながる設備投資を支援する制度です。

令和8年度は一般枠の最大500万円・補助率1/2以内(小規模事業者2/3以内)という基本的な支援内容を維持しながら、新たにM&A後の設備投資を対象とするグループ化支援枠(最大4,000万円)、創業間もない事業者を対象とする創業者成長支援枠(最大300万円)が設けられました。

また、事前着手届を提出することで申請日から事業に着手できる仕組みが設けられたことも、前年度との大きな違いです。

令和8年度の6月・7月・8月公募はすでに終了しています。現時点で追加公募は発表されていませんが、令和7年度は9月に2次公募が発表・実施された実績があります。

追加公募が実施される場合に備え、設備の選定や見積書の取得、生産性向上効果の数値化などをあらかじめ進めておくと、スムーズな申請につながります。

経営ビューイングでは認定支援機関として豊富な実績とノウハウで、事業計画策定から申請手続き、採択後のアフターサポートまで一貫した支援を行なっています。

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