
東京都内で新たな技術・製品の研究開発に取り組む中小企業やスタートアップに注目したいのが、東京都中小企業振興公社の「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」です。
本事業では、東京都が策定する「イノベーションマップ」に掲げられた開発支援テーマに沿って、自社のコア技術を基盤としながら、他企業や大学などの知見・ノウハウを活用して行う革新的な技術・製品開発を支援します。
助成限度額は8,000万円(下限額1,500万円)、助成率は2/3以内。さらに、最長3年間の研究開発に対応している点も特徴です。
経営ビューイングでは認定支援機関として豊富な実績とノウハウで、事業計画策定から申請手続き、採択後のアフターサポートまで一貫した支援を行なっています。
ご相談も受け付けておりますのでお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
なお、令和8年度の申請受付は2026年9月3日17時をもって終了しています。本記事は2026年9月4日時点で公表されている公式情報をもとに作成しています。
TOKYO戦略的イノベーション促進事業は、都内中小企業等による革新的な技術・製品開発を支援する東京都の助成事業です。
特徴的なのが、単に新製品を開発するのではなく、東京都が策定した「イノベーションマップ」に基づいて研究開発を行うことです。
イノベーションマップとは、東京が抱える課題を解決するため、成長産業分野における開発支援テーマや技術・製品開発動向等を示したものです。
また、申請者だけで研究開発を完結させるのではなく、他企業・大学・公設試験研究機関等との連携が必要となります。

令和8年度の主な助成内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成限度額 | 8,000万円 |
| 申請下限額 | 1,500万円 |
| 助成率 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 助成対象期間 | 2027年3月1日~2030年2月28日(最長3年間) |
| 主な対象者 | 都内で実質的に事業活動を行う中小企業者等、都内で創業を具体的に計画している個人 |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請 |
| 事前エントリー | 必須 |
最大8,000万円という比較的大規模な助成に加え、研究開発期間を最長3年間確保できるため、一定の開発期間や資金を必要とする研究開発に対応した制度となっています。
令和8年度は、イノベーションマップに基づく9分野が開発支援テーマとなっています。

例えば「防災・減災・災害復旧」では、災害情報収集・自動処理・配信システム、3Dマッピング技術、災害予測技術、分散型非常用電源、耐震強化技術などが例示されています。
「インフラメンテナンス」では、インフラ点検・診断技術、モニタリング技術、自動・遠隔施工、デジタル・ファブリケーションなどが例として挙げられています。
重要なのは、自社が開発したいものを9分野のいずれかに形式的に当てはめればよいわけではないことです。
募集要項では、
「イノベーションマップ」に掲げられた開発支援テーマに合致すること
が助成対象事業の要件となっています。
そのため、申請にあたっては令和8年度版イノベーションマップを確認し、自社の研究開発が東京都の課題や開発支援テーマとどのようにつながるのかを整理することが重要です。
本事業のもう一つの大きな特徴が、外部との連携が必須であることです。
他企業、大学、公設試験研究機関等との連携を通じて、社外の知見やノウハウを活用する研究開発である必要があります。令和8年度の募集要項では、連携先との関係性を示すための「関心表明書」についても定められています。
つまり、
自社のコア技術 × 他企業・大学等の知見やノウハウ × 東京都の開発支援テーマ
という組み合わせが、本事業を理解するうえで重要なポイントです。
対象経費の範囲が広いことも特徴です。
令和8年度では、次の経費が対象とされています。
| 助成対象経費 |
|---|
| 原材料・副資材費 |
| 機械装置・工具器具費 |
| 委託・外注費 |
| 専門家指導費 |
| 直接人件費 |
| 規格等認証・登録費 |
| 産業財産権出願・導入費 |
| 展示会等参加費 |
| 広告費 |
特に研究開発を行う従業員等の直接人件費が対象となる点は、大規模な研究開発を行う企業にとって重要です。
ただし、直接人件費の助成金交付申請額には1年につき1,000万円という上限があります。
また、「規格等認証・登録費」「産業財産権出願・導入費」「展示会等参加費」「広告費」の助成金交付申請額の合計は、助成金交付申請額の1/2が上限です。このうち展示会等参加費と広告費については、合計1,000万円が上限となります。
注意したいのが、機械装置・工具器具費が対象経費に含まれていても、本制度は設備投資そのものを目的とした助成金ではないことです。
募集要項では、
生産・量産用の機械設備の導入等、設備投資を目的としているもの
は助成対象外とされています。
また、
なども対象外です。
そのため、「新しい加工設備を導入して生産性を向上させたい」という目的であれば、基本的には別の設備投資系助成金を検討する必要があります。
一方で、新技術・新製品を研究開発するために必要な機械装置を導入するという位置づけであれば、助成対象となる可能性があります。実際の対象可否は、募集要項の経費要件等を個別に確認する必要があります。
TOKYO戦略的イノベーション促進事業は、助成金だけでなく、採択後の支援が組み合わされている点も特徴です。
採択事業者には公社が連携コーディネータを設置し、原則として月1回程度訪問。事業の進捗状況に応じて、
など、事業化に向けたハンズオン支援を行います。
さらに、事業化の進捗状況に応じて、助成事業完了後も最長1年間支援を継続するとされています。
単に研究開発費を補助するだけでなく、その後の事業化まで見据えた支援制度といえます。
| 手続き | 期間 |
|---|---|
| 申請エントリー | 2026年7月9日~8月12日17時 |
| Jグランツ申請 | 2026年8月14日~9月3日17時 |
| 助成対象者決定 | 2027年1月上旬予定 |
| 助成対象期間開始 | 2027年3月1日 |
| 助成対象期間終了 | 2030年2月28日(最長の場合) |
申請するには、申請エントリーを事前に行う必要があります。
エントリーしていない場合は、その後Jグランツから申請することができません。
また、Jグランツの利用にはGビズIDプライムが必要で、公社は発行に原則2週間程度かかるとしているため、早めの取得が必要です。
令和8年度の募集は終了しています。過年度の公募状況を見ると年1回の募集となっており、現時点で追加公募の予定は公表されていません。次年度の活用を検討する場合は、早めに研究開発計画や連携先の検討を進めておくとよいでしょう。
直近2年度のエントリー・申請期間は同じ日付で設定されています。
| 年度 | エントリー | 申請受付 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 2025年7月9日~8月12日 | 2025年8月14日~9月3日 |
| 令和8年度 | 2026年7月9日~8月12日 | 2026年8月14日~9月3日 |
本事業では、一般的な設備投資助成金とは異なり、研究開発そのものの革新性や事業化可能性が重要になります。
特に、
東京都の開発支援テーマ
↓
解決すべき社会・産業上の課題
↓
自社が持つコア技術
↓
他企業・大学等との連携によって補完する技術・ノウハウ
↓
具体的な研究開発
↓
技術的な達成目標
↓
事業化・市場展開
という一貫したストーリーを構築することが重要です。
また、本事業では研究開発の「達成目標」を具体的に設定する必要があります。募集要項では、設定した達成目標が達成されなかった場合には助成金が支払われないと明記されています。
最大8,000万円という助成規模だけを見るのではなく、3年間の研究開発をどのような段階に分け、何をもって「開発成功」とするのかを数値や客観的な指標で設定することが重要になります。
令和8年度「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」は、都内中小企業・スタートアップ等による革新的な技術・製品開発を支援する制度です。
助成限度額8,000万円・助成率2/3以内・最長3年間と支援規模が大きく、原材料費や機械装置費、委託・外注費だけでなく、研究開発に直接従事する従業員等の人件費も助成対象となります。
一方で、生産・量産設備の導入だけを目的とした事業は対象外です。東京都の「イノベーションマップ」に掲げられた開発支援テーマに合致し、自社のコア技術を基盤として、他企業・大学等の知見やノウハウを活用する研究開発であることが求められます。
令和8年度は2026年9月3日に申請受付を終了しました。直近の公募実績では年1回の募集となっており、現時点で令和8年度の追加公募は確認できません。
次年度の申請を検討する場合は、募集開始を待ってから動くのではなく、自社のコア技術の整理、研究開発テーマの具体化、連携する企業・大学等の選定、資金計画の作成などを早めに進めておくことが重要です。
経営ビューイングでは認定支援機関として豊富な実績とノウハウで、事業計画策定から申請手続き、採択後のアフターサポートまで一貫した支援を行なっています。
ご相談も受け付けておりますのでお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。