設備導入を検討の事業者にとって、省力化補助金(一般型)は、2026年現在、採択率60〜70%台という高水準を維持している注目の補助金です。
しかし一方で、
- 「とりあえず設備導入」では通らない
- 採択される案件には明確な共通点がある
というのも事実です。
本記事では、第1回〜第4回の採択結果データをもとに、最新の採択傾向と業種別事例集を徹底解説します。
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採択率の推移
省力化補助金(一般型)は、他補助金と比較し採択率が平均65%前後と比較的高い水準で推移しています。
第1回:68.5%
第2回:60.9%
第3回:66.8%
第4回:69.3%
設備導入等でよく活用される、ものづくり補助金の採択率が30~40%ですので、採択率が比較的高いことが分かります。
省力化補助金(一般型)採択事業の傾向
採択事業の傾向①業種
採択データを見ると、製造業が50%と最も採択率が高くなっています。
製造業については、設備導入による省力化効果が非常得られやすい業種ですので、設備導入をご検討の企業にはぜひ活用いただきたい補助金となっています。
- 製造業:約50%前後で最多
- 建設業:増加傾向(約15%前後)
- サービス・小売も拡大中
採択事業の傾向②投資内容
本事業は「省力化」を目的としているため、それを達成するための生産工程の「自動化」や「デジタル化」、「設備連携」などを念頭においた投資内容であることが重要です。
- 自動化設備(ロボットアーム・NC設備等)
- DX(業務プロセスのデジタル化、業務改善ソフト、CAD/CAMソフト)
- 生産工程の高度化
さらに重要なのは単一工程ではなく「工程全体の自動化」を意識することです。
また、本事業の特徴として、導入設備は自社向けに「カスタマイズ」や「オーダーメイド」されていることが必須です。
一方で、汎用設備であっても自社の製品や製造工程に基づき、いくつかを組み合わせて生産ラインに最適化さていれば、それは「カスタマイズ」と認められます。
ですので、単一の高スペックでカスタマイズされた設備を1台導入ではなく、「工程全体」・「現状の生産ラインの最適化」を意識した設備投資が重要です。
採択事業の傾向③:投資規模
採択案件の金額帯は約1,500万〜1,750万円帯が最多で、“小さすぎず、大きすぎない現実的な投資”が中心
省力化補助金(一般型)採択される事業計画の特徴
第4回の採択事例を読むと、採択されやすい事業計画にはいくつかの共通点があります。
- ボトルネックが明確で省力化 → 売上増・利益改善まで説明できる
- 人手不足への対応(技能依存の排除・少数運営・無人化)
- 定量効果があり、数値(生産性・人件費削減)を明確化できる
- 高付加価値化につながる(制度向上、品質安定、新製品の開発)
- 事業全体の変革ストーリーがある(単なる設備導入ではなく、工程全体の改革や事業全体の改革につながっている)
省力化効果を数値として客観的に提示すると同時に、補助金は単なる設備導入ではなく「経営変革の投資」や自社の「経営課題の解決」につながっていることが重要です。
事業計画書においても「省力化によって捻出したリソースをどの分野に再分配するか」に対する説明が求められます。
単なる省力化ではなく、省力化の先にある自社が取り組むこと(例:高付加価値分野への人材注力、人材育成など)を明確に提示する必要があります。
省力化補助金(一般型)採択事例集
ここからは、業種別に現時点で採択が発表されている最新公募回(4回)の事例を紹介していきます。
採択率が最も高い製造業と建設業を中心に事例を紹介しています。
製造業(金属加工・部品加工)
特徴として、NC・自動化・検査工程の高度化が挙げられます。
- 鉄骨加工の穴あけ・切断ライン導入
- 精密板金加工の自動化・標準化
- CNC旋盤導入による生産能力向上
- マシニング加工・5軸加工導入
- 曲げ加工のDX化
- プレス工程の省力化
- 検査工程の自動化(画像検査・X線など)
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- 鉄骨加工の穴あけ・切断連結ライン導入による生産性向上
- 精密板金加工における省力化・標準化・非属人化の実現
- CNC自動旋盤導入による作業員の工数削減と生産性向上
- APC付き5軸マシニングセンタの導入による生産効率化
- 曲げ加工のDX化で省力化・効率化を図りグローバル市場へ本格展開
- プレス工程の省力化と新規取引先の開拓
- ポンプ部品加工統合による省力化と付加価値向上
- ステンレス建築資材等の切断工程自動化による省力化
- 鉄骨製造工程の自動省力化事業
- 電力設備製造の省力化と生産能力拡張
- 精密部品向け専用自動画像検査装置と全自動洗浄装置の導入
製造業(木工・家具・建具)
NCルーター×高付加価値・多品種対応の事業計画が多い傾向にあります。
- NCルーター導入による木材加工省力化
- 家具製造工程の全体最適化
- 建具製造ラインの省力化
- 畳製造の自動化
- 特注家具製造ラインの省力化
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- デジタル制御による木材加工省力化と生産性改革
- 建具製造ラインの省力化による生産性向上
- ネスティングCNCの導入による家具製造工程の全体最適化
- 5軸制御NCルータ導入による最先端の家具加工サービスの提供
- ダブルエンドテノーナの導入による特注家具製造ラインの省力化事業
- 畳製造の省力化・高精度化を目指した新たな生産体制の構築
- 極薄畳の省力化製造体制の構築と新規顧客層の開拓
製造業(印刷・繊維・その他製造)
特徴として、小ロット多品種+自動化の組み合わせ事例が多くなっています。
- ガーメントプリンター導入による高付加価値化
- 印刷工程の自動化・検査連携
- 織物の電子制御による省力化
- 段ボール製造・包装工程の自動化
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- 刷版工程の完全自動化で生産性の向上と高品質化を実現する事業
- 印刷・検査工程連携による高付加価値ラベル印刷の省力化
- 次世代ガーメントプリンター導入による生産性向上と高付加価値化
- 段ボール結束工程の自動化による省力化と生産性向上
- 全自動製函機の導入による段ボール組立作業の省力化
- 包装設計技術を活用した加工プロセス自動化
- 高純度金属リサイクルの完全自動化(破砕・選別ライン)
検査・品質・工程改善系(製造付随)
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- 三次元デジタイズシステムとロボットで検査の簡易化
- 検査工程の内製化による車検省力化体制の整備
- 検査工程の自動化による製品販売強化
- 検査工程DXによる品質保証体制の確立
- 機内計測機能を搭載したCNC旋盤による品質均一化
食品製造系
採択事例の特徴として、ライン化・充填・包装・冷凍など後工程が多い傾向です。
- 瓶から缶へ、充填工程の省力化による海外販路拡大
- 冷凍パン製造の省力化と生産能力強化
- 酒造に関する計量・移送作業の省力化
- スムージー缶充填作業自動化による生産性向上
- 個包装いぶりがっこの自動化
- レトルト惣菜製造の処理能力向上
- 揚げ餅・干し芋などの加工工程省力化
- 製麺・ジェラート・菓子製造設備の自動化
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- 瓶から缶へ、充填工程の省力化による海外販路拡大と賃上げの実現
- 冷凍パン・生地製造の省力化による多品種OEM展開
- インジェクター導入による業務の省力化と労働生産性向上の実現
- 大福製造ラインおよび串団子製造ラインの省力化
- 揚げ餅の生産性の向上(冷却設備導入)
- 干し芋製造工程の省力化による増産体制構築
- 個包装いぶりがっこの省力化・自動化による生産能力の拡大
- レトルト惣菜製造における原料歩留向上と処理能力の向上
- スムージー缶充填作業自動化による生産性向上計画
- 高効率設備導入による冷凍パン製造の省力化と生産能力強化事業
- 製麺製造プロセスの省力化と新たな価値創出のための設備導入
- 酒造に関する計量・移送作業の省力化と新規酒造事業による付加価値向上
- 醸造工程の自動化・省力化による増産ニーズへの対応力強化
建設業系(ICT施工・測量DX型)
建設業系で最も多いのが、ICTを活用した施工や測量に関する事業です。
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- ICT建機を導入し、土木施工のDX化による売上拡大を実現する
- ドローン測量の導入による測量業務の省力化と経営基盤強化事業
- ICT施工の導入による省力化と安全性向上の実現
- 測量・施工のICT化による宅地造成の飛躍的効率化事業
- 3Dスキャナー導入による測量の大幅省力化と高付加価値化
- SLAMによる測量DX化を推進し効率化・省力化・人手不足対策を図る
- 丁張り・測量人員を削減するデジタル化による省人化計画
建設業系(重機導入・施工能力強化型)
設備導入型の事例は、設備導入+受注拡大までがセットとなった採択事例が多くなっています。
- クレーン・ショベル・専用重機
- 狭所対応・大型案件対応
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- クレーン導入による焼付塗装工場の生産性向上計画
- 狭所用重機+チルトローテータ導入による省力化・省人化
- 超大型解体機導入による人手不足対策と施工革新への挑戦
- ユニック車用クレーン・ウインチ導入による省力化計画
- 最新重機とアタッチメント導入で金属分別作業の精度向上と省力化
建設業系(解体・処理・環境系の省力化)
1~3回公募回から増加傾向にある分野です。
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- 解体処理能力向上と工期短縮(アームロールコンテナ増設)
- 解体工程の省力化事業(設備組み合わせ)
- 破砕・選別ラインの導入による高純度金属リサイクルの完全自動化
- 油圧破砕・自動分別設備導入による解体工事の高速化・省力化
- 下水道インフラの高精度診断・調査の省力化
建設業系(内製化・加工・施工体制強化型)
建設業で内製化に取り組む事業は、外注費削減など利益率改善とセットとなっている事例が多数です。
具体的な計画名の一例は下記の通りです。
- 建設材の自社加工サービスの強化による事業拡大と省力化推進
- 管工事の省力化と工期短縮の機械導入による大型案件進出
- 配管調査・工事・管理の省力化とDX化
- 現場全体のDXを加速させ作業時間を大幅削減
共通(業種横断)
生産ライン全体や、前後工程を含めた再構築の内容が多く採択されています。
- 生産ライン自動化
- 検査工程の内製化・自動化
- ERP・基幹システム導入
- AI・IoT活用
- 工程統合・一貫生産体制構築
製造業と建設業の採択パターンまとめ
第4回公募の採択事例を調査すると、省力化と人手不足への対策を基本としつつ、製造業と建設業にそれぞれ共通しているパターンがありました。
| 製造業 | 建設業 |
|---|
| メインテーマ | 工程改善 ①ボトルネックとなっている特定の工程 ②生産ライン全体の前後関係の改善 | ①施工のデジタル化による効率改善 ②重機導入 |
| 設備 | ①複数の設備の組み合わせで生産ライン全体を改善 ②NC設備 ③自動化設備 ④デジタルソフト | ①複数の重機の組み合わせ ②デジタル測量 |
| 定量的な効果 | 生産性向上 | 工期短縮 施工能力向上 |
| 売上向上の手段 | ①高付加価値による価格競争からの脱却 ②受注数向上による売上改善 | ①受注拡大により売上改善 ②内製化による利益確保 |
まとめ
省力化補助金は採択率が高い一方で、事業計画の質によって結果が大きく左右される補助金です。
対象となる補助設備や計画書の内容も範囲が決まっているため、自社での判断が難しいというケースも少なくありません。
経営ビューイングでは認定支援機関として豊富な実績とノウハウで、事業計画策定から申請手続き、採択後のアフターサポートまで一貫した支援を行なっています。
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